公務員は安定? 人生の安定とは?【公務員志望の方むけ】


公務員の仕事に興味のある方のこんな疑問に応えます。

  • 親は「これからの時代、安定しているのは公務員だけ」と言う。特にやりたいこともないので、とりあえず公務員を目指そうかと考えているけれど、公務員の仕事は自分に向いているのかなあ?。
  • 地元で、人の役に立つ仕事がしたいと思って、公務員を考えている。でも特に公務員にこだわっているわけでもないので、公務員試験のための勉強を思うと躊躇するところもあるんだけど。

この記事を書いているのは、関東地方の県庁で30年間公務員として働き、独立したキャリアコンサルタントです。

県庁では主に産業労働の分野で、企業誘致や中小企業支援をしていました。

公務員になりたいという学生が増えています。

トヨタ自動車の社長自らが「終身雇用を守るのは難しい局面に入っている」と言うように、大手企業でさえ次々と希望退職を募っている背景があります。

確かに公務員の終身雇用は今後も変わることはないと思われます。

しかし、「終身雇用 → 安定 → 幸せな生活」が単純に成り立つものでもありません。

また、一度選んだ就職先や仕事で生涯過ごすことも少なくなるでしょう。

幸せな人生を送るための就職先選びにはあまり意味がなくなってきたようです。

むしろこだわりを捨てて柔軟に生きる術を身に付けることこそ、真の安定と考えます。

ぜひ一緒に考えてみませんか?

もくじ

  • 1 子供に働いてほしい企業NO.1は「公務員」
  • 2 「キャリアの8割は偶然」計画的偶発性理論
  • 3 試行錯誤から学ぶ自分なりの経験値こそが「安定」をつくる
  • 4 まずは自分の「軸」を定める
  • 5 柔軟化している公務員採用(まとめ)

1 子供に働いてほしい企業NO.1は「公務員」

就職支援会社のマイナビによる「就職に対する保護者の意識調査」(有効回答数1,000名)によれば、「子供に働いてほしい企業」のトップは断トツで「公務員」でした。

また「入社してほしい企業の特徴」の設問では、「経営が安定している」46.2%がトップです。

いま就職時期を迎える若者の親は、ちょうどバブル世代の50代が中心です。

親世代が就職した時代は、今をはるかに凌ぐ超売り手市場でした。

大企業は内定済みの学生を他社に奪われないよう、その後の就職活動をさせない目的で数週間のハワイ旅行(内定者研修?)に招待するような時代でした。

今も売り手市場ではあるものの、親世代にとっては生涯安泰と信じてきた大手企業でさえ、“安心できない”といった衝撃的な光景を目の当たりにしています。

親世代にとっては、なおさらのこと ”公務員信奉” なのかもしれません。

2 「キャリアの8割は偶然」計画的偶発性理論

スタンフォード大学のジョン.D.クランボルツ氏が提唱した有名なキャリア理論に、「計画された偶発性理論」というものがあります。

この理論では、

  • 個人のキャリアの8割は、予想できない偶発的なことによって決まるもの
  • その偶発的なことを、計画的に導くことで自分のキャリアをつくっていくべき

といったものです。

これまでの経験の中で、人との偶然の出会いや、旅先での思わぬ体験が自分の価値観を変えるきっかけとなったり、大きな影響を受けたりといったことはなかったでしょうか。

いくら事前に入念な計画を立てていても、現実というものは決して計画どおりにはならないものですよね。

人生(キャリア)は、そんなふうに偶然が大きく作用しながらつくられていくという考え方なのです。

3 試行錯誤から学ぶ自分なりの経験値こそが「安定」をつくる

当初決めたキャリアプランに沿って知識やスキルを身に付けていったとしても、これからの時代は、突然、AIに仕事が奪われてしまうこともありえますよね。

過去の価値観をもとにしたキャリアプランに固執するほど、変化の激しい社会の価値観とのミスマッチが拡大していくことになります。

仕事を通じた満足感のみならず、安定した経済生活までも継続的に得ることができなくなってしまうのです。

つまり今後は、自分自身の ”外側” に「安定」を求めるような従来の価値観との決別も、時に必要です。

自分の人生(キャリア)に対する強い ”当事者意識” を持ち、自分の人生は自分でつくるという、生き方における覚悟の必要性です。

変化のスピードが激しい時代にあっては、既存のやり方や考え方はすぐに陳腐化して使えないものになります。

その中で頼れるものは唯一、変化に対応できる能力を身に付けた、自分自身です。

現実的には、最初からうまくやれることの方が少ないと思います。

自分なりに試行錯誤して、数多くの失敗を重ね、そこから小さな成功への学びを見逃さず、着実に身に付けていくことです。

日々の経験値の積み重ねこそが、本当の人生の「安定」であるように思います。

4 まずは自分の「軸」を定める

さて、「役所は安定しているので公務員になりたい」という話に戻りましょう。

公務員への志望動機はどのようなものであってもかまわないと思っています。

実は私自身も、30年前に県庁に入った時は、消去法での選択で公務員を選びました。

私は経済学部の出身ですが、臨床心理学を教えていたある教授との出会いをきっかけに、心理カウンセラーになりたいと考え始めました。

「カウンセラーになるには大学院への進学が必要」との助言を得て、大学院を受けたのですが、不合格となってしまいました。

途方にくれ、「とりあえず公務員にでもなっておくか!」といった不純な動機から、公務員試験を受けることにしました。

当時はバブル絶頂期だったので、私のような者でもなんとか県庁に潜り込めました。

県庁に勤めながらも、「いつかカウンセラーの仕事をしたい」とずっと考えていました。

県庁では最初の配属先で、たままたま商工行政に携わることになり、そのことがきっかけで27歳の時に中小企業診断士の資格を取ることができました。

もともと専門職志向であったこともあり、将来は中小企業診断士と心理カウンセラーを融合したような仕事ができればと密かに考えていました。

そしてようやく、いま、キャリアコンサルタントという仕事に出会っています。

私の人生(キャリア)も、当初の希望(計画)どおりに歩めたわけではなく、まったくの偶然の産物です。

しかし、それはすべて偶然に依存しているだけではなく、偶然を味方につけながらも、それらを私自身の ”人生戦略” に組み込むというとを意識的にやってきたように思えます。

このようなことが、クランボルツ氏のいう「計画的な偶発性」の意味合いです。

私自身の話はともかく、今度こそ話を元に戻しますね。

結論としては、職業選択にはどんな動機でも構わないと思います。

とにかく行動してみて、そこからの学びを、自身の成長と、真の安定につなげていくことです。

とは言っても、まったく闇雲に進むのもあまりに無謀ですし危険です。

人生は計画どおりにいかないことは覚悟しつつも、自分なりの「軸」は定めておいてほしいのです。

私の場合も、心理カウンセラーの職には就けませんでしたが、「直接、困っている人の力になる仕事がしたい」という「軸」は、はじめから一貫していて、ここは今後も変わらないと思います。

「やりたいこと」を探すのが難しい場合には、自分として「譲れないもの」といった角度から「軸」探しをする方がやりやすいかもしれません。

考えるための手がかりの例をお示ししますね。

下の項目の中から自分の価値観に合うことがらを考えてみてください。

消去法で選ぶのもアリです。

「7 安定している組織で働き、確実な報酬を得たい」「10 世の中をよくするための仕事がしたい」「15 育児や介護休暇が取りやすい組織で働きたい」あたりが公務員志望の方には多いでしょうか。

しかし、他の項目もながめてみて、ご自身の興味を引きそうな価値観があれば、ぜひそのことにも目を向けてみてください。

実際に職に就いてから、様々な経験を経てようやく真の「軸」に気づくこともあります。

こだわりをいったん外に置いてみましょう。

そして経験に開かれた態度で、好奇心や柔軟性を持って、自分の人生を自分で作り出そうと行動することが、貴重な偶然を引き寄せることにつながるものです。

迷いと行動の繰り返しからの学びの経験こそが、自己信頼(自信)の源泉になります。

日々、バージョンアップしている自分であることこそが、変化の激しいこれからの時代では、経済的な安定であり精神的な安定につながるのだと信じます。

5 柔軟化している公務員採用(まとめ)

最近特に、公務員の採用のあり方がとても柔軟になってきています。

たいていの役所では、新卒だけでなく既卒や転職者の採用も前提に、公務員試験の対象は「30歳程度までの方」としています。

神奈川県茅ケ崎市では、採用試験において、事実上、筆記試験を廃止しました。地域のために働きたいが、「公務員試験の勉強をする時間がない」「筆記試験に受かる自信がない」との理由で公務員を諦めることのないよう配慮した結果です。

また、神奈川県庁では50歳代の社会人経験者でも受験できる採用枠をつくっています。民間企業等において部下指導やプロジェクトリーダーを担いマネジメント経験のある人を、相応の給料で採用する制度を始めています。

最近、大阪府四条畷市では、副市長のポストを一般公募し、リクルート社出身の女性副市長が就任しています。

いったん民間企業での経験を重ね、そこで自身の価値観や、自身の市場価値などを見つめ直して、あらためて公務員に挑戦するといったチャンスもあるのです。

逆に、とりあえず公務員になっておいて、やはり自分には合わなかったので転職するといった選択も、それはそれで「計画的な偶発性」からの、真の人生の見出し方でもあります。

サントリー創業者である鳥井信治郎氏の「やってみなはれ!」の精神です。



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ABOUTこの記事をかいた人

NORI(ノリ)

元県庁職員でキャリアコンサルタントをしています。公務員の皆さんの"人生戦略”や”キャリアの自律”を応援する記事を書いてます。キャリアコンサルタント(国家資格)、キャリアコンサルティング技能士2級(国家資格)、中小企業診断士(国家資格)、産業カウンセラーの資格は県庁勤務の時に取りました。