公務員のキャリア自律とは【若手公務員の方むけ】


「キャリアの自律」とか「キャリアオーナーシップ」という言葉があります。

どんなイメージを思い浮かべますか?

「組織に頼らないで、個人事業とか会社をつくったりして自分で稼ぐってこと?」

ここでいうキャリアの自律とは、経済的な「自立」よりも、もう少し広い意味合いです。

“自分の人生の中では、自分を主役にして生きていく” というあり方でしょうか。

この記事を書いているのは、関東地方の県庁で30年間公務員として働き、2019年4月に独立したキャリアコンサルタントです。

もくじ

  • 1 「人生100年時代」でのキャリアの自律
  • 2 キャリアの自律が注目される背景
  • 3 自律的なキャリア形成の意味
  • 4 自分の「居場所」は自分でつかむ
  • 5 雑感

1 「人生100年時代」でのキャリアの自律

「人生100年時代」と言われています。

例えば、22歳で役所に就職、十数回の異動の後60歳で定年退職、65歳で再任用が終了。

さて、そのあとの自分の人生(キャリア)は?

キャリアの自律を意識してない人は、こんなふうかもしれません。

「勤続43年。頑張ったなあ。これからは自分の人生を楽しもう。で、明日から何をしようか?」

「90歳まで生きるとして、あと25年もあるのか。年金収入で生活費は足りるかなあ?」

キャリア自律で困った顔

一方、現職時代からキャリアの自律を意識している人は、こんなふうに考えるかもしれません。

「役所での文書作成力とボランティア活動での人脈を活かして、NPO法人の運営を頑張ろう!」

「これまで計画的に貯金もしてきたし、退職後は予定どおり妻と二人で贅沢旅行を楽しもう!」

「役所時代からのボランティア講師の仕事を、これからは本格的な事業化につなげてみよう!」

キャリア自律できている公務員

人生の主導権を他者(組織)に委ねるか、自分自身(個人)が握るのか。

生きていく姿勢の違いです。

2 キャリアの自律が注目される背景

キャリアの自律という概念は新しいものではありません。

そもそも「キャリアというものは、組織や他人から与えられるものではなく、働く者個々人がより主体的に当事者意識を持って、人生(キャリア)の選択に関与していくべきもの」、とのごく当たり前の考え方です。

バブル崩壊後、リストラ(Restructuring)という言葉が曲解され、「余剰人員の整理」と同義で使われ始めた頃から、労働者の防衛策としてのエンプロイアビリティ(雇われる能力)という概念が注目され始めました。

従来の終身雇用制度や、特定の組織に依存しない、自律的なキャリア形成のあり方を推奨するものです。

最近では、「人生100年時代」「働き方改革」と合わせて、この概念があらためて政府によって持ち出されています。

人口減少や高齢化により働き手が減少する中にあって、将来にわたって国民生活を維持していくためには、国民一人当たりの付加価値(稼ぎ)を高める必要があります。

企業がもっと稼ぐ力を高めるためには、従業員には、もっともっとやる気を出してもらい、70や75歳くらいまで、長く長く働き手のままでいてもらいたいのです。

つまり、会社を移ったとしても、すぐに即戦力となれる実力を備えた、多くの働き手を増やしておくための方策の一つとして、「キャリアオーナーシップ(キャリアの自律)」に着目しているのです。

昨今、人手不足の中にあっての早期退職募集に関する報道を連日のように耳にします。かつての大規模リストラの再来ともいわれることがあります。

一人ひとりが「キャリアの自律」を意識せざるを得ない環境に直面しているともいえましょう。

3 自律的なキャリア形成の意味

民間企業とは違い、身分保障と賃金保障がほぼ保たれている公務員の場合はどうでしょう。

民間とは事情が違うのでキャリアの自律は関係ないのでしょうか?

米国最大の調査会社であるギャラップ社が全世界1700万人のビジネスマンを対象に行った「エンゲージ・サーベイ」(2017年)の調査結果をみてください。

日本はエンゲージメント(仕事や会社への満足度)の高い「熱意あふれる社員」の割合がわずか6%。米国の32%と比べて大幅に低い。これは調査した139カ国中132位と最下位レベル。さらに、「周囲に不満をまき散らしている無気力な社員」の割合は24%、「やる気のない社員」は70%。

この調査は、民間企業の社員を対象にしたものです。

しかし私の実感から、公務員にも十分に当てはまる気がします。

組織や上司に従属的で、「やらされ感」を持ちながら仕事をする姿はみられないでしょうか。

役所で働いている本人も、見せる笑顔は上司への作り笑い。とうていやりがいは感じられませんし、生き生きとした人生を送ることもできません。

あたかも、人生の主役を他者(組織)に譲り渡してしまい、自分はいつも脇役でいるような状況です。

人生の最期に後悔しない生き方を選ぶためにも、人生の主役は自分自身でありたいと、私は思います。

国のため社会のためという視点はとても大切です。

しかし何より、日々、喜びと幸せを実感しながら自分自身の人生を送るため、といった視点でキャリアの自律を考えてみてもよいように考えます。

4 自分の「居場所」は自分でつかむ

自律的なキャリア形成とは、自分らしく生き生きとした人生を送ることをめざすものでもあります。

生涯をかけて、できる限り自分らしくいられる「居場所」を、自分の手でつかもうと努力するプロセスでもあります。

あえてライフ(生活)とワーク(仕事)を切り離すことなく、人生そのものとして、広くとらえてもよいように思います。

自分らしく生き生きとした人生とは?

考えるためのヒントをお伝えします。

  • 自分が「やりたいこと(Will)」・・・ 夢、希望、目標、興味関心など
  • 自分に「できること(Can)」・・・ 知識、スキル、実績、今後習得することなど
  • 自分が「するべきこと(Must)」・・・ 組織からの期待、生活上の義務や制約など
キャリア自律と自分の居場所

まずは、この3つの視点をひとつずつ書き出してみてください。

それら3つが重なる部分には、どのような自分自身の姿が描けるでしょうか。

そこが、自分がより自分らしくいられる「居場所」です。

果たしてどんな世界が描けるのか、ぜひ一度考えてみてはいかがでしょう。

5 雑感

まずは自治体職員自らが、自分らしく生き生きと、自信と誇りを持って生きる姿を、広く社会に対して見せることができるような存在でなければ、「人生100年時代」や「働き方改革」といった政策には説得力を持ちえません。

一方、一定の身分保障がされている自治体職員だからこそ、目先の損得にとらわれずに思い切ってできる仕事も多いはずです。

大いに期待しています。



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ABOUTこの記事をかいた人

NORI(ノリ)

元県庁職員でキャリアコンサルタントをしています。公務員の皆さんの"人生戦略”や”キャリアの自律”を応援する記事を書いてます。キャリアコンサルタント(国家資格)、キャリアコンサルティング技能士2級(国家資格)、中小企業診断士(国家資格)、産業カウンセラーの資格は県庁勤務の時に取りました。