再任用職員を迎え入れる側の留意点【リーダー層公務員の方むけ】


こんな思いを持つグループリーダー層の方にお伝えします。

  • 私のグループに、だいぶ先輩の再任用職員を受け入れることになったけど、やりにくいなあ。
  • 再任用職員にはどんな仕事をしてもらおうか、即戦力になってくれるのか、少し不安だ。
  • 私や周りの職員も、定年後の職員とうまくやっていけるだろうか、少し負担だなあ。

この記事を書いているのは、関東地方の県庁で30年間公務員として働き、独立したキャリアコンサルタントです。

県庁では、日々複雑な気持ちを抱えながら働く、多くの再任用職員の方と一緒に仕事をしてきました。

今回は、再任用職員を迎え入れる側の課題についてお伝えしていきます。

もくじ

  • 1 再任用職員の現状
  • 2 再任用職員を迎え入れる側の留意点
  • 3 職場リーダーとしての対応
  • 4 雑感


1 再任用職員の現状

 再任用職員は増加傾向

地方公務員の再任用職員数は年々増加傾向にあります。特に平成26年度から大きく増加しています。

また、短時間勤務者よりも、フルタイム勤務者の伸びが目立ちます(「H29地方公務員の再任用実施状況調査」総務省)。

このことは、平成25年3月に総務省から各自治体に発せられた「地方公務員の雇用と年金の接続について」という通知を契機とした現象です。

同通知の内容は次のとおりです。

  • 再任用により、年金支給65歳への引き上げに伴う職員の無収入期間の発生を防ぐこと
  • 定年後、再任用を希望する職員は、原則、全員採用すること
第任用職員の推移

国家公務員の定年延長法案では、「2021年から段階的に3年ごとに1歳ずつ定年を引き上げて、2033年には65歳定年とする」とあります。当然、地方公務員もこれに準じた運用となります。

したがって、しばらくの間はこの再任用制度が継続され、再任用職員は増加し続けることが予測されます。

② 再任用職員数トップ10

総務省による調査では、全国の自治体における再任用職員(H29実績)トップ10は次のとおりです(都道府県及び政令指定都市別の内訳は別表参照)。

1位 東京都(5,656人)、2位 愛知県(3,719人)、3位 大阪府(3,444人)、4位 千葉県(3,256人)、5位 埼玉県(3,140人)、6位 神奈川県(2,433人)、7位 北海道(2,423人)、8位 横浜市(2,391人)、9位 兵庫県(2,048人)、10位 大阪府(1,797人)。

いずれの自治体でも、確実に増加傾向にあります。

都道府県 再任用職員数
政令指定都市の再任用職員数

 

2 再任用職員を迎え入れる側の留意点

① 再任用職員本人の不安と戸惑い

職場の管理者の認識としては一般に、再任用職員は一定の不安を抱えて新しい職場に足を踏み入れているものと思って迎え入れていただきたいものです。

例えばこんな気持ちを抱えている場合も多いです。

  • どんな仕事をさせられるのだろう。長く現場仕事から離れていたので自分がやれるだろうか
  • 配属先のグループリーダーは私より15歳も年下だ。なんだか複雑な気分だなあ
  • 「専門員」という肩書はいったいどんな立場なのか。アルバイトみたいなもの? 嫌だなあ
  • パソコンは苦手だし、いちいち若い人に聞いていたら、煙たがられるだろうなあ
  • どうせ給料も低いんだし、期待されているわけでもないから頑張るだけ損か・・・

現職時代には、上下関係を前提とした、序列に基づく役割を背負って働いてきた人が、再任用を機に、一定の肩書をよりどころとした役割を奪われる喪失感は、本人にとっては初めての経験かもしれません。

さらに、だいぶ年下の上司への戸惑いを持つ人もいると思います。

また、たとえ自分で再任用を希望した人であっても、年金受給までのつなぎとして仕方なしにこの場にいるような、いわば不本意就業の場合もあります。

もちろん、「年下の上司は気にならないし、自分が役立つのならば喜んで働きたい」といった積極的な気持ちを持っている人も多いとは思います。

ただ、再任用職員を迎え入れる側としては、まずは、「もしかして様々なネガティブな気持ちを抱えてここにいるのかもしれない」といった細心の心配りは必要かと思います。

② 迎え入れる側の期待と不安

再任用職員を迎え入れる側にも、次のようなプラスとマイナスの気持ちがあるものです。

【プラス】

  • これまでの知識や経験を活かして、ぜひとも即戦力となってほしい
  • 若手職員のモデルとなって、公務員としての基礎能力を教育指導してほしい
  • 役所内の顔の広さと、年の功による調整能力を発揮して私を手助けしてほしい

【マイナス】

  • 私よりだいぶ年上だけど、仕事の依頼や指示を聞いてくれるだろうか
  • 新規事業での現場仕事をてきぱきとこなしてくれるだろうか
  • やる気が感じられない人だったら、若手のモチベーションに影響を与えないだろうか??

このように、再任用職員本人だけでなく、迎え入れる側の期待や不安も複雑に重なり合うようなスタートを切ることになります。

そして双方において生じやすいのは、やはり、序列の逆転に伴う不安心理です。

3 職場リーダーとしての対応

① 仕事は完結型で任せる

再任用職員には、その職員が最初から最後まで自己完結的にできるような仕事を任せるようにした方がうまくいくようです。

なぜなら、その方が、職員本人としては職場内での序列をあまり気にしないで仕事ができるからからです。

仕事を細かく分割され、作業の進捗ごとに指示を受けるよりも、一つの仕事をまとめて任される方が、本人の裁量も発揮しやすくやりがいにつながるうえに、上司からの期待感も伝わりやすいものです。

公務員としての見識が深いベテラン職員だからこそ、ある程度仕事をまるごと任せてしまっても大きな間違いはないものです。

例えば、イベントや事業説明会等の運営、ポスターやチラシの制作、業務マニュアルの作成、各種照会文書の処理など、最初から最後まで完結できる仕事を任せてしまうのがコツです。

② 迎え入れる側の職員からまず胸襟を開く

最初は再任用職員本人も、迎え入れる側の職員も、双方ともに何らかの不安を抱えているものです。

そのような状況だからこそ、ぜひ、再任用職員を迎え入れる職員の方から、率先して自分の不安な気持ちを、再任用職員に率直に伝えてみてほしいと思います。これはとても効果的な方法です。

人はとかく、不安な気持ちを表に出すことには躊躇するものです。

不安とは自分の弱みでもあり、弱みを見せることは身の危険を想像し、本能的な防衛心理が働くものです。特に、男性の方がその傾向は強いようです。

しかしここで双方が互いに防衛的になっていたとしたら、理解の溝は埋まりませんし、うまくやっていけるはずがありません。

ここはひとまず、迎え入れる職員の側が、ほんの少しの勇気を出して、先に胸襟を開いてみてください。

例えばこんな感じでしょうか。

  • 「実は今回、私自身も、初めて先輩職員の方をお迎えすることとなって、少し緊張しています」
  • 「どのように仕事をお任せすればよいか、ご相談させていただけますか?」
  • 「〇〇の仕事をお願いしたいと考えていますが、何かご心配なことはありませんか?」
  • 「私がわからないことや、若手へのご指導などへのお手伝いもいただけますか?」
わいきあいあいと仕事をする

不安な気持ちをそのままの言葉で伝えるより、「ぜひ力になってもらいたい」「相談したい」といった表現方法であれば、話しかけやすいと思います。いかがでしょうか。

最初の面談が肝心です!!

迎え入れる職員の方が、まず自己開示をすることの効果はとても大きいものです。

そして、週に1回程度は「相談」という名目で、状況把握のための面談を行い、再任用職員への細かなフォローができれば理想的です。

4 雑感

現在の再任用制度は、定年退職者の無収入期間を埋めるための暫定的な仕組みといった側面もあります。

政府案では、将来の65歳定年制の導入以降でも、60歳時点で役職は解かれ、給与は6割程度に引き下げられることが計画されています。

一方、民間だけでなく役所においても徐々に、終身雇用を前提とした年功序列的な賃金体系の抜本的な見直しが加速すると考えられます。

勤続年数と単純連動することなく、職務内容や職務能力に基づく評価の仕組みや、「ジョブ型」の通年採用もスタンダードとなることでしょう。

今後ますます職員個々人における専門性の習得と発揮が期待されることになります。

時代の転換点にある今だからこそ、一人ひとりが自身のあり方(キャリア)をあらためて内省するチャンスなのかもしれません。



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ABOUTこの記事をかいた人

NORI(ノリ)

元県庁職員でキャリアコンサルタントをしています。公務員の皆さんの"人生戦略”や”キャリアの自律”を応援する記事を書いてます。キャリアコンサルタント(国家資格)、キャリアコンサルティング技能士2級(国家資格)、中小企業診断士(国家資格)、産業カウンセラーの資格は県庁勤務の時に取りました。