公務員なら国、都道府県、市町村どれがいい?【公務員志望の方むけ】


この記事ではこんな疑問にこたえます。

  • 国、都道府県、市町村の選択に迷っているけど、私に向いているのはどれ?
  • 市町村よりも都道府県、都道府県よりも国のほうが偉いの?

この記事を書いているのは、関東地方の県庁で30年間公務員として働き、独立開業したキャリアコンサルタントです。

県庁では主に産業労働行政の分野で、企業誘致や中小企業支援をしていました。仕事場では、経済産業省など国の職員や、市町村の職員と接する機会も多かったため、その実感も含めお伝えします。

公の立場で人の役に立ちたいと思って、民間企業ではなく公務員を志す人も多いと思います。

しかし、公務員といっても、ざっくりと国、都道府県、市町村がありますよね。

「遠くへの転勤がないから国よりも地方公務員がいい」といった基準で選ぶ場合もあると思います。

人事異動で転勤する人

もちろん、そんな考え方もありです。でもそれだけの理由で選んでしまうと、「入ってみたらイメージしていた仕事と違っていた」ともなりかねません。

そんなことにならないよう、転勤の有無だけでなく、自分の興味・関心なども選択基準に加えてみましょう。一般行政職としての、私の現場経験からお伝えします。

もくじ

  • 1 熱血タイプは国、好奇心旺盛タイプは都道府県、現場タイプは市町村
  • 2 国、都道府県、市町村との関係はそれぞれ上下関係か
  • 3 結論だけのまとめ

1 熱血タイプは国、好奇心旺盛タイプは都道府県、現場タイプは市町村

 ① 「日本を動かしたい」熱血政治家タイプは国家公務員

「理想の社会を実現したい」とか「社会制度を変えたい」といったような、熱血政治家タイプの人は国家公務員に向いています。

現役の政治家の中には、元官僚が多いことからもわかると思います。

やる気に燃える人

そうは言っても「それは特別なキャリア官僚だけでしょ」と言われるかもしれません。

ただ、実際に政治家になるかどうかは別として、国民の生活基盤に影響する仕事を体験ができるのは、国家公務員ならではの醍醐味です。

例えば、私は中小企業者への支援をしていましたが、支援制度の中には税制の優遇措置などもあります。

県庁職員としての私は、中小企業の社長さんへの支援として、「新しい国の優遇制度を使うと有利ですよ」といった案内もしていました。

一方、国の公務員は、その税制制度自体を創る役割を担うことで、全国規模での産業振興に貢献し、影響力を発揮できような仕事ができるのです。

② 「いろんな仕事に触れたい」好奇心旺盛タイプは都道府県庁職員

知的好奇心旺盛で、いろいろな分野の仕事を体験してみたいといった、わりと器用なタイプであれば都道府県職員が向いています。

なぜなら、一般行政職の場合には3〜4年ごとに、まったく異なる分野への人事異動というのがごく当たり前だからです。

地方公務員で頑張る人

例えば、新規採用時に少子高齢対策課に配属、3年後には建築指導課へ、またその3年後には学校教育課へ異動など。

このように、多くの都道府県庁では、まったく分野の異なる配置転換が、定年退職まで十数回にわたり繰り返されることが多いのが実態です。

人事異動のたびに経験したことのない職務分野となれば、当然、そのたびに新しい知識を、しかも短期間で身につけことができる能力が求められます。

一般行政職がやる事務仕事は、福祉でも土木でも教育分野でも、基本的には同じパターンの繰り返しなのですぐに慣れるものではあります。

しかしやはり人事異動当初は、その分野特有の専門用語や制度の仕組みを必死に覚える努力は必要です。

なので、何事にも物怖じせず、好奇心旺盛で器用なタイプの人が向いていると思います。

③ 「直接人の役に立ちたい」現場タイプは市町村職員

「住民と直接触れ合って、役に立つ実感を感じながら仕事をしたい」というタイプであれば、やはり市町村だと思います。

市町村が、公務員としてはもっともわかりやすく、一般には親しみやすいイメージかと思います。

より多くの人に大きな影響力を行使する「権力」志向よりも、身近な人の笑顔を増やしたいといった純粋な「貢献」志向タイプの人に適しているかもしれません。

市役所でがんばる人

例えば、地域振興のために寝食を忘れて活躍する「スーパー公務員」のような姿はその代表例かもしれません。

NHK「プロフェッショナル仕事の流儀(第304回)」では、過疎と高齢化が進む町で地元産業の復活を果たす、島根県邑南町職員の姿が紹介されていました。

商工観光課係長の寺本氏は、“グルメ戦略”の地域おこしを実践。かつての過疎の町はいま“A級グルメの町”として、全国からの観光客でにぎわうという。徹底地産地消の高級イタリアン。地域の人に調理技術を指導する“食の学校”。低脂肪乳によるミルクジャムの開発。数々の事業に集まるのは、観光客だけではなく全国から移住者も殺到する。町おこしの根底を支える信念は、“地域の誇りを育む”ことだ。『一番おいしいものは地方にあって、おいしいものを作る人間は地方にいる。だからこそ、地方の人間は輝いているという誇りをもって僕は生きている。』と語っています。


組織規模が小さいほど、何らかのプロジェクトを実現しようとする時には、組織内での意思決定が早く、軌道修正も柔軟です。

国よりも都道府県、都道府県よりも市町村の方が、スピート感とフットワークの良さを発揮できるものです。

2 国と都道府県と市町村との関係は上下関係か

① 国と地方自治体(都道府県、市町村)との関係

法律上、国と地方自治体との関係は、「上下・主従の関係」ではなく「対等・協力の関係」です。

この関係は、2000年の「地方分権一括法」の施行を契機としたものです。

以前は、地方自治体は実質的に国の出先機関として、国は通達によって地方自治体の事務をコントロールするような面もありました。

経済産業省 国家公務員で頑張る人

このような中央集権型の行政システムは、高度成長期時代には有効な手段でした。が、現代のように、多様な地域ニーズに機敏に対応するためには、地方分権の推進が不可欠になってきたのです。


しかしながら、現場サイドから見た実態面は、正直「上下・主従の関係」もみられます。

なぜなら行政施策には、すべてにおいて財源確保が必要です。現実問題として地方自治体の財源は限られており、国の財源に頼らざるを得ない現実があります。

こうしたことから、お金をいただく側の地方自治体の立ち居振る舞いとしては、推して知るべしといったところでしょうか。

② 都道府県と市町村との関係

こちらも上記と同様であり、かつて、知事は国の下級機関として、市町村長に対しては包括的な指揮監督権を持っていました。

しかし現在は互いに対等な関係です。市町村が担いきれない事務については広域自治体である都道府県が担うという、「役割分担」の考え方です。


さらに、近年は「平成の大合併」によって市町村の規模が大きくなり、財政力など体力面も充実したため、都道府県から市町村への権限移譲も進んでいます。

市役所

このため都道府県では、権限移譲による業務縮小の影響等により職員数は減少傾向にあります。


また都道府県は従来から、市町村と国との仲介機能も果たしてきました。いわゆる卸売業者のような立場です。

しかし最近では、業務の効率化といった観点などから都道府県をスルーして、国と市町村が直接やりとりすることも一般的です。


こういったことから、現在、国と市町村との間に位置する都道府県は、少し中途半端な立ち位置にあるようにも思えます。今後は、道州制導入の議論をはじめ、ますます都道府県の存在意義が根本的に問われることになるかもしれません。

3 結論だけのまとめ

冒頭の疑問にお答えします。


国家公務員、都道府県職員、市町村職員とでは、やはり仕事の実感が大きく違います。

自分自身の人生としての価値観をどこに置きたいのかが明確になれば、自ずと選択は絞られると思います。


また、国、都道府県、市町村は、法律上は互いに「対等」な立場で役割分担をしながら仕事をすることになっています。

ただし、一方で、財政力のある側の発言力が大きいという現実は否めません。


以下は蛇足です。

都道府県については、その役割を巡って、いずれ大きな転換点がやってくることが予想されます。



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ABOUTこの記事をかいた人

NORI(ノリ)

元県庁職員でキャリアコンサルタントをしています。公務員の皆さんの"人生戦略”や”キャリアの自律”を応援する記事を書いてます。キャリアコンサルタント(国家資格)、キャリアコンサルティング技能士2級(国家資格)、中小企業診断士(国家資格)、産業カウンセラーの資格は県庁勤務の時に取りました。